|レポート:「美・Myself 2017~おしゃれと癒しを楽しむ日~」

 

はじめに

 

昨今、認知症の人に対する「美容」が注目を浴び、介護施設などでイベントとして開催されることが増えてきた。

おしゃれと癒しを楽しむことを通じて外出する機会をつくり、社会参加ができる環境をつくろうという思いで開催している

イベントの第4回目を紹介する。

 64日(日)認知症のある人や高齢者、障がいの有無に関わらず、いつまでも自分らしくおしゃれと癒しを楽しめる社会の実現を目指して、ダイバーシティー(多様性を受け入れる)をテーマにしたイベント

「美・Myself2017」を豊中市立文化芸術センターで開催した。

 

このイベントは、2014年「認知症の女性がまぶしく輝く日をつくろう」という想いからスタートし、今年で4回目。

 

主催するEn cheri Labは、高齢化が進む社会において、美容を通じてその人らしくいきいき暮らしていただくことを目指し活動している日本エンシェリセラピア協会(大阪府 豊中市)のエステティシャンと介護支援専門員のメンバーが、「おしゃれと癒し」を通じて楽しく外出する機会をつくり、当事者や家族が社会参加できる環境をつくろうという思いで、地域の施設や近くの大学からの協力も得て開催している。

 

当日は、受付時間の1030より前からお客様が並ばれ、開催予定時間の30分前に開場し、来場延べ人数は、100名を超えた。

メイクやネイル、アロマセラピー、カラー診断、リンパケア、タッチングケアといったブースに加え、4回目になる今年はフラワーアレンジメントや記念写真をその場で装飾したフレームに入れてくれるブースなどが出展。

ブースでは、様々なおしゃれと癒しを体験しながら、おしゃれについて出展者と話をしたり、自宅でできる簡単なセルフケアを真剣に聞かれる姿、リラックスして少し眠られる姿もあった。

 

出入り口ですれ違った方からは「本当に楽しそうに帰って行かれた」という声を聞くことができ、昨年来場された方が「昨年参加してから、この年でおしゃれに目覚めた」と素敵な帽子を被り、蔓延の笑みで来場された。

 

日頃、介護をされている家族の方は、「久しぶりに、介護とは関係のない話をした」「自分たちが楽しんだり、リラックスできる時間はすごく大切だと思った」など、セルフケアに繋がることも体感していただくことができたようだ。

1130から開催したイベントスペースでのリハビリデイサービスnagomi豊中庄内店様による「ここちヨガ」では、来場者も出展者もみんながヨガに参加する場面も。

 

親子で来場された娘さんは、学生ボランティアと一緒に参加されているお母様の姿を見て、「いつも一緒で離れることがなくて、今日は来て良かった。

お母さんがみんなと一緒に楽しそうにしているのが嬉しい」と涙を流された。

 

会場の様子は、昨年に引き続き、今も現役のカメラマンで軽度認知障害(MCI)の方に会場の様子を撮影していただいた。

 

美容の観点から高齢者や認知症のある方、障がいのある方への取り組みは、広がってきた。

今後は、このような社会参加を意識した取り組みが広がり、高齢化社会における地域福祉に繋がることを期待する。

 

このイベントを通じて、年齢や性差、病気や障がいの有無に関係なく、多様な人が社会の中で当たり前におしゃれや癒しを楽しみ、外出できる環境をつくっていけるよう、様々なセクターの人と協力し合いながら継続開催していこうと思う。

同時に、この活動が他の地域へ広がっていくことを願う。